パタゴニア
パタゴニア

80年代末〜90年代、オールド・アウトドアの「総柄」。

アロハシャツ(ハワイアンシャツ)の文脈でありながら、モチーフは南国の植物や波ではなく、冷涼な清流を泳ぐ「トラウト(鱒・鮭系)」。

1990年代に巻き起こったアウトドア・クラシックやフィッシング・カルチャーの台頭を象徴する、非常にコレクタブルな一着です。

1. 年代:1980年代末〜1990年代

首元のブランドタグは見当たりませんが(欠損、あるいは元々インサイドの裾や脇に付く仕様)、ディティール的に「1980年代末〜1990年代」のものと思われます。

  • ボタン(グリーン・皿ボタン):

    画像4枚目の左側、目を引くのがこのディープグリーンのプラスチックボタン。70年代以前のココナッツや尿素ボタンとは異なり、90年代のオールドアウトドアブランド(L.L.Bean、REI、Eddie Bauer、あるいは初期のJ.CREWなど)が好んで採用した、ボディの柄(魚のグリーン)に色を合わせた小粋なパーツチョイスです。

  • 生地とプリント技法:

    画像4枚目の右上(襟の裏側)を見ると、生地の裏側が白っぽくなっているのが分かります。これは高密度に織られた平織りのコットン生地に、精巧なスクリーン捺染(プリント)を施している証拠。魚の鱗のグラデーションや、赤・黄・緑の鮮やかな発色をリアルに表現できる、80年代末〜90年代以降の技術です。

  • テーマ(フィッシング・ブーム):

    90年代は、映画『リバー・ランズ・スルー・イット』(1992年)などの影響もあり、フライフィッシングやアウトドアライフが世界的に大流行した時代。そのトレンドがファッションに直撃し、こうしたトラウトやバス、ルアーをモチーフにした総柄シャツが数多く作られました。

2. ディティールの解剖学

  • トラウトの総柄(オールオーバー・パターン):

    描かれているのは、レインボートラウト(ニジマス)やブラウントラウトと思しき、非常にリアルで細密な魚たち。黒ベース(墨黒)のボディに対して、魚たちの鮮やかな色彩が浮き立つように映えています。

  • 襟元(オープンカラー):

    型崩れしにくい袋縫いのオープンカラー(開襟)。着用時の襟の開き方が非常に美しく、リラックスしたリゾートウェアとしてのシルエットを担保しています。

3. 市場価値

現在、ヴィンテージ市場では「パタゴニアのトラウト柄」を筆頭に、魚柄・フィッシングモチーフの総柄シャツが世界的に争奪戦となっています。

もしこれが「L.L.Bean」や「REI」、「Polo by Ralph Lauren」といった人気ブランドのものであれば、数万円で取引されるポテンシャルを秘めたグラフィックです。タグ無しだとしても、このクオリティのプリントは現代ではコストがかかりすぎて簡単には作れません。


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