New Balance_CM996V2
1988年に登場した「996」は、「最も完成された、最も美しいニューバランス」とされているモデルです。現在、公式オンラインショップでも主力として展開されている「CM996V2(通称:CM996の現行・第2世代的立ち位置)」は、単なる安価な普及版ではなく、「オリジナルの精神をどう現代に安着させるか」という難問に対する、ニューバランスの回答そのものです。

出典:https://shop.newbalance.jp/
1. 「CM996V2」とは何者か?
まず整理すべきは、2010年代に大ヒットした「MRL996」との違いです。MRL996は軽量なREVLITEソールを採用し、シルエットもかなり細身にアレンジされていました。 対して現行の「CM996V2」は、「オリジナルのM996のシルエットを精緻に再現する」という使命を持って生まれました。公式サイトでも「LIFESTYLEモデル」として紹介されていますが、その実態は「1988年のオリジナルへの先祖返り」です。

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2. ディティールの徹底比較:オリジナル(USA製) vs 現行(CM996V2)
① シルエットとトウ(つま先)のボリューム
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オリジナル: 手仕事ゆえの個体差はありますが、トウが少し上を向いた躍動感のあるシルエット。
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CM996V2: MRL996で失われていた「トウの厚み」が復活しています。上から見た時の少しポテッとした、それでいてサイドから見るとシャープな「996特有の絶妙なバランス」が見事に再現されています。

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② ミッドソール構造:ENCAPから「C-CAP」への決別と進化
ここが一番のポイントです。
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オリジナル: ENCAP(ポリウレタンの中にEVAを封入)を採用。
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CM996V2: 「2層構造のC-CAP(シーキャップ)」を採用しています。
③ PUインソールの導入
現行モデルの最大の功績は、このインソールかもしれません。公式サイトでも触れられていますが、高反発なPU(ポリウレタン)インソールが標準装備されています。これにより、ソールの技術がクラシックであっても、足を入れた瞬間の心地よさは現代のハイテクスニーカーに引けを取らないものになっています。

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④ ロゴと素材の質感
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Nロゴ: オリジナルに近い、少し太めの「チビNではない」標準サイズ。反射材(リフレクター)の質感も、80年代の雰囲気を壊さないマットな輝きに調整されています。
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ピッグスキンスエード: さすがにUSA製の毛足の長い贅沢なスエードには及びませんが、現行のピッグスエードも非常にキメが細かく、ヴィンテージデニムとの相性は抜群です。

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3. 「エッセンシャル」という価値
CM996V2は「ESSENTIAL PACK」として、グレー、ネイビー、ブラックという伝統色を軸に展開されています。これは「流行に左右されない、一生モノのスタンダード」であるというブランドの自負。特に、グレー(GR2)の発色は、オリジナルよりもわずかに青みが抜けた「現代のコンクリートジャングルに馴染むグレー」に昇華されています。

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4. 懸念点
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「ソールの厚み」による重厚感の欠如: C-CAPは軽くて快適ですが、オリジナルのENCAP特有の「ずっしりとした重厚な安定感」を愛する人には、少し頼りなく感じるかもしれません。歩行感に「重み」がないため、本格的なドレススラックスに合わせた際に、足元が少し軽く見えてしまうかもしれませんが、逆に軽さを出したいときには良いかもしれません。
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量産型ゆえの「味」の薄さ: アジア工場で非常に高い精度で製造されているため、左右の個体差がほとんどありません。これは品質管理としては満点ですが、味わいのある雰囲気を求める人には、少し綺麗すぎるかもしれません。
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「寿命」のパラドックス: 加水分解はしませんが、EVA素材(C-CAP)は長年履き続けると「ヘタリ」が出ます。ポリウレタンのように粉々にはなりませんが、クッションが死んでしまった後に「ソール交換」がしにくい(基本的には使い捨ての構造)という点は、サステナビリティの観点からは惜しいポイントです。
総評 CM996V2は、「1988年の逸品を、2026年の技術でデイリーウェアに落とし込んだ傑作」です。USA製の3万円超えを買う前に、まずはこの1.6万円前後の「本気」を履いてみてください。ヴィンテージに合わせてこれほど様になる現行品は、他にそうありません。
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